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【金沢市「デジタル科」始まる】
情報工学科 河並 教授が設立に関わり、市教育委員会の依頼を受け講演。デジタル科授業を参観し、意見交換や講評を行う

2025/10/10 NEW

金沢市では、今年度より小中学校で「デジタル科」が正式にスタートしました。この取り組みは、AIやIoTなどの先端技術が急速に進展する社会において、児童生徒のデジタル力?創造力を育成することを目的とした全国的にも先進的な試みです。

情報工学科の河並 崇教授は、昨年度まで金沢市教育委員会「次期金沢型学校教育モデル構築会議」の委員として、デジタル科の設立検討に関わってきました。その経緯も有り8月20日(水)に教育プラザ富樫で開催された「新金沢型学校教育モデル研修(デジタル力の育成)」において、金沢市教育委員会の依頼を受けて約2時間半にわたる講演を行いました。この研修には、金沢市内の小?中?高等学校92校から、デジタル科を推進する教員が参加しました。

デジタル科の重要性とAI時代の学びを説いた講演

講演テーマは「デジタル力の育成 ~プログラミング学習の充実~」。AI?Society5.0時代における教育の在り方を踏まえ、河並教授は、「デジタル科はこれからの子どもたちに必要な科目であり、金沢市は全国のモデルとなる」と強調しました。

講演では次の3点を中心に、デジタル科の意義と実践の方向性を分かりやすく示しました。

1.AIと人間の関係を理解する教育の必要性
「ドラえもんのようなAIパートナーの時代が近づいている」とし、汎用AI(AGI)を“人間の創造力を支える道具”として活用する姿勢の重要性を説きました。同時に、AIが万能ではなく、人間の判断?倫理?創造が不可欠であることを児童期から学ぶ必要があると述べました。

2.プログラミング教育の心得
児童生徒の方が先生よりも技術的に優れていても自然なことであり、「先生は伴走者として、共に学びを楽しむこと」が最も重要であると強調。失敗や試行錯誤の過程にこそ価値があると述べました。

3.体験的なAIプログラミング教材の紹介
Googleの「Teachable Machine」、Scratch拡張の「Stretch3」、BBC micro:bitを活用したAI?ロボット教材、そして河並教授が発案?運営している「おもちゃハック」や「ドローンプログラミングチャレンジ」など、誰もが“作りながら学べる”具体的な教材を紹介しました。実際に参加教員がAI学習とマイコン制御を体験し、「すぐに授業で活用できる」と好評を博しました。

研修会は金沢市内の小?中?高等学校92校から教員が参加して行われた

地域に根ざした実践:小学校の公開研究発表会への参加

河並教授は、9月下旬に市内2校で開催された公開研究発表会に参加し、デジタル科の授業を参観しました。授業後に教職員の皆さんと意見交換および講評を行いました。両校では、デジタル科の学びが「自分たちの生活や地域と結びついた形で表現される」段階にあり、児童自身が課題を発見し、形にする力が育ちつつある様子が見られました。

9月24日(水) 不動寺小学校

4年生では「生活に役立つマクィーン」、6年生では「社会に役立つドローン」をテーマにしたデジタル科授業を視察。児童らが地元の環境や安全を題材に、ドローンを活用して課題解決を試みる姿に、「地域+プログラミングの相性は非常に良く、探究学習の題材として最適」と見解を述べました。また、今後は地域住民との協働や聞き取り調査を取り入れることで、より発展的な学びにつながると期待を寄せました。

教職員と意見交換および講評を行う(不動寺小学校にて)

9月26日(金) 扇台小学校

3年生では「生活に役立つmicro:bit」、5年生では「社会に役立つマクィーン」を活用したデジタル科授業を見学。児童が友だちのプログラムを見比べながら多様なアイデアを取り入れ、自らのプログラムを改良する姿に、「探究心が自然に育まれていた」と述べました。また、学校をテーマに身近な課題として取り組まれていた点も児童らが自分事として捉えられる良い事例と所感を述べました。

3年生、5年生のデジタル科授業を見学後、所感を述べる河並教授(扇台小学校)

今後への展望

金沢市のデジタル科は、全国に先駆けて「情報活用能力を横断的に育むモデル」として注目されています。河並教授は、「まずは”楽しいこと”が最も大事と述べます。そして、児童生徒の“やってみたい?学びたい”という感動を引き出すことがデジタル科で重要であり、大学としても教材開発?教員支援の両面から連携を強めていきたい」と語りました。さらに、「デジタル科はAI時代を生きるすべての子どもたちに必要な基盤的スキルである」と位置づけ、その重要性を改めて訴えました。

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