ニュース
NEWS
【高校生がAI活用と地方創生データ分析】
Data Dreamersと狩野研究室が実践的な特別講座。埼玉県の昌平高等学校で
金沢工業大学の学生によるデータサイエンスプロジェクト「Data Dreamers」と情報デザイン学部 環境デザイン創成学科の狩野 剛研究室(専門分野:テクノロジーと社会変革)が、2025年7月に埼玉県の昌平高等学校にて2日間のAI?データサイエンス特別講座を実施しました。
企画は、狩野剛准教授と、Data Dreamersのプロジェクトメンバーを中心とするデータサイエンス?AI教育に関心のある大学院生?学生(大学院情報工学専攻、情報工学科、経営情報学科)、および共同研究に取り組むタイガーモブ株式会社(東京都渋谷区)が行い、昌平高校からは30名の生徒が参加。幅広いテーマに取り組みました。
講座概要
本講座は、「データサイエンス?AIの魅力やワクワク感を伝える!」をスローガンに、2024年度から始めた連携企画です。2025年度で2度目の実施になります。今年度は、データサイエンス?AIの改良コンテンツに、高校側からリクエストのあった地方創生データ分析を加えました。また、2024年度は週一コマを6週に渡って実施する形式でしたが、2025年度は2日間で全9コマの集中講座としました。
年齢が近い大学生が高校生に教える化学反応や交流も視野に入れた講座にするため、参加した6人の大学生がそれぞれ一コマずつコンテンツ制作と講義を行う形を取り、大学院情報工学専攻博士前期課程(修士課程)2年の大竹雅彦さんと狩野准教授で監修する形で講座の設計?制作が行われました。
第1回「AIが抱えるジレンマ」
AIの発展に伴うジレンマや倫理的問題をテーマに、AIが社会で果たす役割とその責任を議論。AIの導入が人種差別に繋がってしまった事例や、自動運転の設計方針を題材に、参加者はAIの利便性と課題を理解し、AI技術がもたらす影響について考察を深めました。
第2回「データに騙されないために」
フェイクニュースや不正確なグラフの分析を通じて、情報の信頼性を見極めるためのデータリテラシーを養成。データがどのように誤用されうるかを、実際に誇張グラフを作成するワークを通して学びました。
第3回「データサイエンティスト体験」
データサイエンティストの役割を疑似体験。埼玉県の市町村別の教育データ分析を通じて課題解決に向けた意思決定を行うプロセスを実際に体験し、データ活用の可能性を理解しました。
第4回「地方創生データ分析①(データを知る)」
地方創生に向けたデータ分析の入門として、世の中にはどのような公開データ(オープンデータ)があるのか、政府統計のオープンデータサイトであるe-Statを用いて実習。実際に手を動かしてデータを取得し、グラフ化して都道府県を比較するワークを行いました。
第5回「プログラミング(Pythonでテトリス体験)」
AIやデータサイエンスで使われるプログラミング言語であるPythonを用いたプログラミングを体験。テトリスのパーツや、左右ボタンをPythonの関数や条件分岐を用いて実装するワークを通じて、自分の手でゲームを作りあげていく体験を行いました。
第6回「キャリアワークショップ」
高校からのリクエストをもとに、大学進学という短期的な目標ではなく、仕事やキャリア構築という長期的な視点から紹介するセッションを実施。大学院生の視点、大学教員の視点、そして民間企業の視点と3人からプレゼンを行いました。
第7回「生成AIで4コマ漫画を作ってみよう」
マルチモーダルな生成AIの活用をテーマに、プロンプトを使った画像作成やシナリオ作りを通じた4コマ漫画作りを行いました。高校生活をテーマにプロンプトを試行錯誤しながら作成し、生成された各班の漫画の紹介は、とても盛り上がりました。
第8回「地方創生データ分析②(データを分析する)」
オープンデータを活用した相関関係と決定係数の実習として、地方創生データの関連性を分析するワークを行いました。e-Statの自治体データから仮説を立てて要素を選び、その決定係数の高さで競う企画で盛り上がりました。
第9回「今後の学びに繋げる振り返り」
これまでの学びの総まとめとして、各講座の振り返りおよび、夏休み期間中のアクションプランを立てるワークを行いました。高校生からの発表は小グループに分かれ、それぞれに大学生がつき、実践的なアドバイスを行なっていました。
講座の実施にあたっては、金沢工業大学に加え、国際キャリアやファシリテーションに強みを持つタイガーモブの力添えも得て、インタラクティブな講座の実施を心がけました。
1日目、2日目の終了後には、高校生と大学生で長時間話し込んでいるケースが複数のグループで見られ、年齢が近く、かつ集中講座だからこそ良い交流が生まれていることが印象的でした。
受講した高校生の声
?データを使って自分たちの生活をどのように良くすればいいのかを考えるのはとてもいい経験だった。また、どの分野にも関わりがあり、将来のために知識として入れておくことはとても大切だと思った。
?4コマ漫画のあらすじをどのように入力すれば、自分が思っている通りに画像ができるのか、ワクワク?ドキドキした。
?自分の夢を実現するための第一ステップを見つけることができたため、とても心が動いた。また、AIによって最適化された情報を得ることができるようになってきていることにとても感動した。
?ゲームのプログラムや車を作る側になって考えることは、普段私たちが見ているものの裏側を見ているようでワクワクした。
この講座を通して、高校生は実践的なデータサイエンス?AIの知識とスキルを身につけ、将来のキャリア形成に向けて新たな視点を得ることができたようです。
大学生たちも、自分で授業を設計して自分で講義をするというチャレンジ(全員がはじめての経験でした)を通じ、人に教える楽しさや、高校生と交流する喜びを感じていました。
【Data Dreamersについて】
2023年4月に発足した金沢工業大学初のデータサイエンスに関する課外プロジェクト。勉強会やハンズオンイベントを開催し、データ分析技術の向上をはかるとともに、実際のデータを用いたコンペティションにも積極的に参加。社会課題を解決できるデータサイエンティストの育成を目指しています。Data Dreamersでは今後もデータサイエンスの普及に力を注いでいく予定です。
(関連ページ)