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【2年連続受賞の快挙】
建築学部勝原研究室の卒業生?湯川柊生さんの卒業論文が「日本建築学会優秀卒業論文賞」を受賞。建築分野の卒業論文における最高峰かつ最難関の賞
2025年3月に建築学部を卒業した湯川柊生さん(指導教員:勝原基貴 講師)の2024年度プロジェクトデザインIII(卒業論文)「建築家?菊竹清訓『国鉄久留米駅舎』(1948)の建設経緯と設計プロセスに関する研究」が、2025年(第36回)「日本建築学会優秀卒業論文賞」を受賞しました。
「日本建築学会優秀卒業論文賞」は、全国の大学から応募のあった当該年度の学部卒業論文のうち、特に優れた論文(環境?計画?構造系あわせて最大15件、今年度は14件)を表彰するもので、建築学生にとっては卒業論文における最高峰かつ最難関の賞として知られています。日本近代の歴史意匠分野においては、全国から毎年1~2件のみが選出されるという非常に狭き門です。
今回の受賞は、1990年の同賞設置以降、昨年の武田拓磨さん(指導教員:勝原基貴 講師)に続く、金沢工業大学から2人目の受賞であり、同一研究室から2年連続の快挙となりました。
【湯川さんの受賞論文について】
湯川さんは、建築家?菊竹清訓が設計したとされてきた「国鉄久留米駅舎」(1948)に着目しました。菊竹の最初期作品に関する研究はこれまで蓄積が少なく、実際に関与したかを含めて、その建設経緯には多くの不明点が残されていました。湯川さんは、旧菊竹事務所に残る建築資料群に加え、久留米市立中央図書館などが所蔵する当時の新聞記事を網羅的に調査し、菊竹が同駅舎の設計に関与した経緯や建設過程に関する新たな事実を提示しました。さらに、現存しない同駅舎について、今回新たに発見したスケッチ群に記された設計条件を丁寧に読み解くことで、実作に表れた建築的特徴を明らかにしました。
授賞式は、「2025年度日本建築学会大会(九州)」の開催期間中(9/10-12)に、九州大学伊都キャンパスにて行われる予定です。
※菊竹清訓(きくたけ?きよのり、1928-2011)
福岡県久留米市生まれ。『代謝建築論』(1969)の中で提唱した三段階の設計方法論「か?かた?かたち」や、メタボリズム運動の中心人物として知られ、日本の近代建築に多大な影響を与えた人物のひとり。主な作品に、自邸「スカイハウス」(1958)、「出雲大社庁の舎」(1963、現存せず)、「東光園」(1964)、「都城市民会館」(1966、現存せず)、「東京都江戸東京博物館」(1992)などがある。
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